「はぁ…景ちゃんが風邪かいな」
「うっせぇな…」
ホンマ、景吾は天才や。テニスとか、統率力とか企画力って点でも確かに天才やけど(せやけど氷帝の天才は俺やで!)どうしようもないほど俺を心配させてくれる天才や。マジで心臓が持たんようになる。今回やって雨ん中風邪引くでぇゆうたのに無理して練習するから案の定風邪引いてもうた。いきなりあの天下の跡部様が学校休むもんやからめっちゃびびってでも理由知らんから宍戸とがっくんが「ぜってぇ海外旅行とか行ってんだぜーあのブルジョワめー」とか言うとったらこれやもんな。その後一人であとベッキンガム宮殿に行ったら盛大に迎えられて「お坊ちゃまのお友達がお見舞いに来てくださいました」とか一々景吾に報告。ある意味一種の感動や。そんで部屋に行ったらちょっと苦しそうに寝てる景吾がおるんやから俺はうっかり取り乱しそうになってかなり挙動不審な所を執事さん達に見られてしもたやんけ。せやけど起きた景吾が俺とふたりっきりになるように執事さん達に言うてくれたから良かったな(それにしても侑士君とふたりっきりになってええんかいな景ちゃん!)とりあえず持って来たお見舞いの果物を渡すと「サンキュ」って言ってくれた。え、何で宍戸達に景吾が休んだ理由教えてやらんかったかって?そんなもん決まってるやろ、こんな景ちゃん見せられんて、ホンマ煽るもん。後な、誰かに言うと一人一人伝わってくから惨事や。結局放課後皆で家に見舞いーゆうて来んねん。前の宍戸の時は凄かったなぁ…鳳がめっちゃ涙目で心配しよって「俺、宍戸さんが良くなるまでここ動きません!」とか言ってジローは宍戸の布団で寝始めるからアホ、風邪移るやろって言うたらなんか真っ黒なジローが目覚めて暴れるから日吉の出番やーいうて止めさせようとしたら日吉がムキになって乱闘になってがっくんが面白がって参加し始めて俺と滝は我関せずで勝手にトランプしとって景吾は見舞いに来たくせに失礼にも菌が移るて言って部屋に殺菌消毒始めて自分の宍戸側に樺地立たせて徹底的に防御してたもんなぁ…そんな事はええねん、景吾や景吾。ああ何か見っとたらムラムラしてきた。あーせやけど景吾具合悪いしなあーあームラムラしてきたどないしよ、そっか良い言い訳あるやん。
「…ばっ馬鹿忍足っ!てめっキスなんかしたら風邪がうつるだろーが!」
「人に移すんが一番早く治る方法やってよく言うやろ?」
「だからってお前に移すわけには…」
「そしたら俺んちに看病しに来たって」
(これはただ忍足がムラムラする話であって宇宙人がいたら話しかけろとかそういうんじゃない)
忍足侑士の憂鬱