黄色がかったランプ。響いていた嬌声。篭っている熱い空気。甘ったるいながら少し青臭い香り。
その場の状況は一目瞭然。
「いいの?」
「最期にするんがキスなんてロマンチックやろ?」
二錠、白い塊を男が口に含む。
男は女に口付けをする。
今までに無い深い深い、甘い甘い口付けで。
その場には卑猥な水音が響いて。
二人は一生懸命相手の腔内を舐め合う。
まるで飴を舐める子供の様に。
彼らの飴は刺激的なもので。
彼らがもうお互い以外を瞳に映すことは無い。
彼らの飴は白雪姫が食べた林檎と同じ。
口付けはいつまでも続いて。
彼らが朽ち果てるまで。
キスで死ね
(死因・口付け死なんて何て素敵なんだろう僕らにぴったりだ)